菅官房長官の拉致問題シンポジウム基調講演全文
https://www.sankei.com/world/news/190511/wor1905110007-n1.html

魚拓 http://archive.is/nIM49

米国を訪問中の菅義偉(すが・よしひで)官房長官は10日午後(日本時間11日午前)、ニューヨークの国連本部で行われた拉致問題に関するシンポジウムで基調講演を行った。講演の全文は以下の通り。
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 日本政府において拉致問題担当大臣を務めております、内閣官房長官の菅義偉であります。本日、司会とモデレーターを務めるグレッグ・スカラトー事務総長、また登壇者の皆さま、パネリストの皆さま、そしてご来場の皆さま、本日はお集まりをいただきましたことに心から感謝申し上げます。主催者として、心から御礼を申し上げたいと思います。
 ここにお集まりの皆さんの多くがご存じのとおり、日本では1970年代から80年代にかけて、多くの日本人が北朝鮮に拉致されました。こうした拉致の被害規模は、政府が公式に認定しているだけでも17人、さらに北朝鮮による拉致の可能性が排除されない方が800人以上おられます。2002年には5人の拉致被害者の方が帰国されましたが、それ以来、一人の帰国も実現をしておりません。まさに痛恨の極みであります。
私自身、拉致問題担当大臣の就任以降は特に、拉致被害者のご家族の皆さまにお目にかかり、痛切な思いを直接お伺いする機会を重ねてまいりました。昨年11月には、新潟で、当時わずか13歳だった横田めぐみさんが北朝鮮によって拉致された現場を視察してまいりました。めぐみさんが拉致されたとみられる場所が、ご自宅から100メートルも離れていない場所であったことに、胸を締め付けられる思いでした。皆さん、どうか想像していただきたいと思います。40年以上も異国の地で救出を待つ被害者、そして、そのご帰国を切なる思いで待ち続けるご家族の、長い年月にわたる苦しみと悲しみを。これらに思いをいたすとき、私には申し上げる言葉もありません。

 拉致問題は、わが国の主権および国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、国の責任において主体的に取り組み、解決をすべき課題であります。日本政府は、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、政府の総力を挙げて最大限の努力を続けております。

 同時に、これまでも日本政府は、多国間の枠組みや二国間の協議を含むあらゆる外交上の機会を捉えて、拉致問題を取り上げてきており、米国を始めとする各国から、わが国の立場への理解と支持が表明をされております。

 先般、第2回米朝首脳会談が行われ、トランプ米大統領から金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に対し、改めて拉致問題が提起されました。また先月、安倍晋三首相が訪米した際にも、両首脳は引き続き、拉致問題の早期解決に向けて緊密に連携していくことを確認をし、トランプ氏からは、今後も全面的に協力するという力強い言葉がありました。トランプ氏に拉致問題を大変重視していただいていることを、非常に心強く思っております。

また、私自身も、昨日から本日午前にかけて、ワシントンDCにおいてペンス副大統領、ポンぺオ国務長官、シャナハン国防長官代行とそれぞれ会談してまいりました。これら全ての会談において、拉致問題の早期解決に向け、日米両国で引き続き緊密に連携していくことを改めて一致をいたしました。

 北朝鮮との関係に関する日本政府の方針は、拉致、核・ミサイルといった諸懸案を包括的に解決をし、不幸な過去を清算をして、国交正常化を目指していくものであり、この方針は変わりはありません。

 北朝鮮には、手つかずの天然資源と、大きく生産性を伸ばし得る労働力があります。北朝鮮が正しい道を歩むのであれば、明るい未来を描くことができます。日本は北朝鮮が有する潜在性を解き放つため、助力を惜しみません。

 わが国としては、北朝鮮との相互不信の殻を破り、新たなスタートを切る考えであります。安倍首相も、条件を付けずに金氏と直接向き合う決意であると累次の機会にこれまで述べております。まさに正念場を迎えております。ご家族もご高齢となる中、一日も早い解決に向けて、あらゆるチャンスを逃すことなく、果敢に行動をしてまいります。
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 本日は、ご参加の皆さまに、拉致問題の実態とご家族の苦悩について知っていただきたく、日本のみならず、米国、タイの関係者の方々の「生の声」に触れる機会を設けさせていただきました。また、日本、米国、韓国の北朝鮮問題に関する専門家もお招きをし、グローバルな課題としての拉致問題の解決に向けた国際連携について議論していただきます。今回のシンポジウムを機に、グローバルな課題としての拉致問題の解決に向けた国際連携が深まる